最近よく聞く、カーリースやサブスク、実際どうなのか?
現金一括・ローンと比較して話をしていきたいと思います。
結論、突発的な大きな出費を避けたい方、車両の管理に時間や手間を取られたくない方、車のことがよくわからない方にとっては、最高のサービスです。
一方で、一時的に大きな出費が発生しても問題ない、かつ車のこともある程度わかっていて、状態管理等も問題なくできる、という方にとっては、メリットが薄いです。
以下で具体的に説明します。
現金一括、ローンとの比較
カーリースは、現金一括やローンと比べると、商品性が少々複雑です(とはいえめちゃくちゃ難しいものではないです)。そして、将来的に車両を買い取る費用も含めた支払総額でみると、割高になります。
カーリースは、この支払方法の面で語られることが多い印象です。
そして、他の2つより総額が高いため検討候補から除外する、というケースが往々にしてあります。ただ、私の営業体験談ですが、車両の購入を検討されていう方へ、カーリースの仕組み、メリット・デメリットを説明すると、「リースのほうが合っているかも」とご判断され、カーリースに切り替えてマイカーを取得するケースが度々ありました。
カーリースとは?
簡単に説明しますと、自分で選んだ期間、自分が選んだクルマで、車を借り受けるサービス。それがカーリースです。たとえば、ホンダのN-BOXに乗りたいと考えているのであれば、指定のオプションでN-BOXを5年間借りる契約ができます(与信審査はもちろん必要です)。
そして、この5年の間に、メンテナンスをどうするか、保険をどうするか。
また、5年後の契約満了時に車をもらえるのか、返すのか、買うことができるのか。
このようなルールや付帯サービスにおいて、各リース会社で違いがあります。
その違いがリース会社ごとの特徴と言えます。
リース会社間のサービスの違いですが、意外とあります。
価格の違いももちろん大事なのですが、サービスの違いも踏まえて、自分に合ったリース会社を選ぶのがベストですので、この点については別の記事でしっかり解説しますね。
個人向けカーリースは人気なのか?
結論、年々着実に人気が高まっている状況です。
個人向けカーリースの保有台数は、2008年から2024年の16年間で、実に5.2倍まで拡大しています(129,071→671,404台)。
自動車リース市場に占める個人向けカーリースの割合で見ても、右肩上がりとなっており、2024年末には過去最高の16.0%に達しました。
2008年 : リース車両の保有台数:3,039,249台 内個人リース:129,071台(個人リース比率:4.2%)
↓
2024年 : リース車両の保有台数:4,192,221台 内個人リース :671,404台(個人リース比率:16.0%)
(出典)データライブラリ:車種別・全国リース車保有台数の年別推移と対前年比
なぜ人気が高まっているのか?
これは、業界に身を置いていた者として申しますと、間違いなくカーリース・サブスクの認知拡大が最大の要因だろうと考えています。
前述の16年(2008~2024年)で、カーリースの商品改良やプラン開発はいくつかありましたが、イノベーションと言えるような劇的な変化が生じたわけではありません。
自動車販売の現場においては、売り切りではない顧客との長期の関係構築、それに伴うLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の拡大を図り、ここ数年でカーリースやサブスクを扱う企業が一気に増えました。
各企業が各々にカーリースの訴求・説明(テレビCM、WEBマーケティング、店頭での説明等)を地道に展開した結果、これまで個人に馴染みのなかったカーリースが、知ってもらえて・理解してもらえるようになった状況とみています。
たとえば、トヨタのKINTOや、コスモ石油のコスモMyカーリースなどは、テレビCMで見かける機会も多いのではないでしょうか。
カーリースと、現金一括、ローンとの違いは?
市場がそれだけ伸びているということは、カーリースは現金一括やローンと比べて良い商品なのだろうか?と気になる方もいるかと思います。
結論から申しますと、カーリースは、家計や車の状態を安定的に保ちたい、という方にとっては、最高のサービスです。
もし車を現金一括で購入しても家計にあまり影響がでないという方であれば、現金一括で購入するのがベストだと思います。なぜならば、ローンやリースと異なり、金利(信用コスト)が発生しないためです。購入後に車検や点検等で出費が発生はするものの、クルマの購入金額に比べれば小さい金額ですので、おそらくそのボラティリティは、さほどリスクにならないと思います。
他方、一括で購入するのが難しいお財布事情の方であれば、必然的に、ローン(残クレ含む) orカーリース(サブスク含む)を検討することになります。
さて、ここで質問です。
ローンとカーリースの本質的な違いは、何だと思いますか?
細かな点でいくつかの違いが思い浮かんだかもしれません。
ただ、それが何の違いに基づく違いなのか、というのが重要なポイントです。
答えは、ファイナンスサービスか、モビリティサービスか、という違いです。
どういうことか?しっかり説明します。
まず、ローンは、200万円のクルマを買うために、いくら借りてそれをいくらで返すか、という割賦契約です。残クレの場合は、そこに数年後の買取金額(残価)を設定します。
一方、リースは賃貸借契約です。「家賃いくらでこの物件を借りる」という、家を借りるときの契約と同じ性質です。
カーリースのメリット、デメリット
割賦契約、賃貸借契約でどんな違い生まれるか、ということがミソです。
カーリース(賃貸借契約)から見たメリット・デメリットの観点で、以下に整理します。
<カーリースのメリット>
① サービス範囲の広さ(カバレッジ)
・リースプラン
・付帯サービス(ガソリンや免許など)
・メンテナンスはライトメンテの範囲まで
② 手続きの手間
・すべて裏でリース会社が代行してくれる。
・ローン会社との支払い調整も大変
・メンテナンスも管理(しており車を常に万全)
<デメリット>
① 繰り上げ返済、解約
・ローンは繰り上げ返済が可能。
・リースはそれができません。
② 返すことを前提とした制限
・最近はもらえるところもある。
・一応、リース会社の持ち物なので改造ができない。
この違いが、ローン=ファイナンスサービス、リース=モビリティサービスという性質の違いです。
ローンは、基本的にファイナンスサービスとして利率でどの会社にするかを選ぶ世界だと思います。一方、リースはモビリティサービスであるが故のプランや後方管理業務があるため、料金は高いです。
上記の通り、リース契約のなかにほぼすべての車に関する費用が含まれている(駐車場代以外)、面倒なことを考える必要がない。というメリットがあり、ローンより月々数千円高くてもそれを選ぶかどうか、という判断だと思います。
どんな人に向いているか?
ずばり、以下のような方で、ローン・残クレと迷っておられれば、リースをお勧めします。
1.急に車のことで10万円近くの請求が来たら家計的に困る。
2.クルマに関する手続き(納税や車検等)が分からない、面倒と感じる。
3.整備漏れなどなく車を常に万全に整えておきたい。
一方で、以下のような方にはリースはおすすめしません。
リースの特徴があまり活きないと思いますので、現金一括かローンをお勧めしています。
- 家計に余裕があり、支払総額を下げることが最も重要と考えている方。
- クルマの手続きに慣れており、自分でそこまで負担を感じず実施できる人。
- 自分自身でクルマの状態管理や整備が出来る人。
個人的には、今後、駐車場代や洗車代もパッケージになった商品が出てくることを期待しています。
まとめ
・ローンとリースは同じ分割で似ているようだが、実は本質的に大きく異なる。
・リースの良さはさまざなサービスがまるっとお任せできること。結果的に、お金の心配(突発的な費用の発生)、管理の心配(納税手続きや、車両状態管理等)がいらない。
・ローンと比べると高くなるが、クルマを持つ上で上記の心配が壁になっているひとにとっては、ピッタリなサービス。


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